「ロータスの環」   松山俊太郎  (インド学者 1930年生まれ~ )

植物学では、ハスは Nelumbo、スイレンはNymphaea、オニバスはEuryale、オオオニバスは、Victoriaで、ともにスイレン科の水草であるとはいえ、属を異にしている。ところが、文化史からすればハスとスイレンは、しばしば、混同されてきたばかりか、エジプトのスイレンの象徴的意義はインド以東ではハスに受け継がれている。

 したがって、宗教や芸術を論ずる場合には、ハス~スイレンを一体と扱うことが必要なのであるが、中国や日本には、両者をまとめて呼ぶ言葉がない。インドでは、パドマという語をハス~スイレンの総称としうるが、本来は<紅いハス>であるうえに、パドマでは多くの日本人に通じない。だから、ロータスという国際語を使用したのである。

 こうして、ハス~スイレンをロータスとしてまとめると、ロータスは、アフリカをはじめヨ-ロッパ<ハス、スイレン>、アジア<ハス、スイレン>、オーストラリア<ハス>、北アメリカ<アメリカキバナハス、スイレン>、南アメリカ<オオオニバス>、と、六の大陸に自生することになる。

 水と温度をととのえれば、どこでもハス~スイレン~オオオニバスを楽しめるので、このロータスを、人類の連帯と平和と繁栄のシンボルにしたいものである。

だが、これまでの歴史におけるロータスは、西はエジプトから東は日本までのいくつかの文明で、特色ある文明で、特色ある精華を連ねたにすぎない。ただし、東へ行くほど、西でのロータス文化を順次受け入れたので、いまのところ、日本が重層の極限となっている。(以下、エジプト、ギリシャ、インド、中国、韓国、日本、アメリカの蓮の解説と続くが略)、、引用『FRONT』(水の文化情報誌)、1997年6月号より抜粋。

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