『延喜式』(えんぎしき)

平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)で、三代格式の一つである。三代格式のうちほぼ完全な形で残っているのは延喜式だけであり、細かな事柄まで規定されているため、古代史研究のうえで重視されている。

905年(延喜5年)、醍醐天皇の命により藤原時平らが編纂を始め、時平の死後は藤原忠平が編纂に当たった。『弘仁式』『貞観式』とその後の式を取捨編集し、927年(延長5年)に完成した。その後改訂を重ね、967年(康保4年)より施行された。

全50巻、約3300条からなる。律令官制に従い、以下のような構成となっている。 巻24の主計寮上には、全国への庸、調、中男作物の割り当て等が書かれており、当時の全国の農産物、漁獲物、特産物を伝える。

『延喜式』巻第三十九内膳司の項に、蓮葉、蓮子、蓮根等が献上されている,下記の記述が見える。

荷(蓮のこと)葉

稚葉七十五枚  波斐 四把半  並起五月中旬盡六月中旬

壮葉七十五枚  蓮子二十房  稚葉十五枚  起六月下旬盡七月下旬

黄葉七十五枚  蓮子二十房  稚藕十五条  黄八月上旬盡九月下旬

右河内国所進。各髄月限隔一日供之

とあり、この中の蓮子(蓮の実)、 稚藕(蓮根)、は食用として、用いられたものと思われる。蓮葉の用途は、食物を包だり、酒を飲む(象鼻杯)杯にまた生薬として、用いられたものと考えられる。これらは河内の国の蓮田から献上されている。

内膳司は宮中の食事を司る役所である。内膳司では、五月中旬から九月中旬にかけて、河内の国から,一日おきに蓮葉、稚藕、壮葉、果托、波斐(蔤・白蒻)を、献上させています。沢山の蓮の利用目的が何であったか興味が尽きない。

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