毎月1回開いてきた昨年の例会のご報告です。
『欽定古今図書集成』(きんていここんとしょしゅうせい)講読会の1クールが2014年1月18日、11回で終了致しました。講師は中国の花蓮事情に精通されている作家・池上正治先生にお願いし、昨年3月にスタートしましたが、回を重ねるごとに興味深い内容と図版が次々と示され、大変実り多い講読会でした。
『欽定古今図書集成』(きんていここんとしょしゅうせい)は、18世紀、中国・清代の百科事典(類書)です。現存する類書としては中国史上最大で、巻数一万巻からなります。清の康熙帝が陳夢雷(1651年 – 1741年)らに命じて編纂を開始、その後さらに雍正帝の命により、明の『永楽大典』に倣って蒋廷錫(1669年 – 1723年)等が増補し、1725年(雍正3年)12月に完成したものです。
蓮についての記述がある博物彙編・草木典・93巻・蓮部彙考に登場する書籍は
『詩経』『周禮』『爾雅』『南方草木状』『斎民要術』『陸疏広要』『酉陽雑爼』『種樹書』『埤雅』『爾雅翼』『清供録』『家清供』『花疏』『瓜蔬疏』『三歳図会』『農政全書』『本草綱目』『遵生八牋』『草花譜』『羣芳譜』『直省志書』の21書で、中国の太古から明中期頃までの花蓮について、各時代の蓮の様子が書かれています。
写真は講読会で使用されたプリント。池上先生の解読を書き込んだものです。
江戸時代、中国より日本に輸入された書物の大半は、日本語に翻訳されていますが、『欽定古今図書集成』は膨大なためか、訳されていません。蓮の花の宝庫である本書の講読会で、私たちは中国の蓮の花の歴史に多少とも触れることが出来たと言えそうです。
中国語と蓮に精通されている池上先生ならではの講読会に、参加者一同ますます蓮への関心が高まりました。
ちなみに昨年6月、私は台北「故宮博物院」で、『欽定古今図書集成』の実物が4冊展示されていたので大感激しました(一番目の写真、手前の黄色の書物)。世界的に有名な玉の白菜や華やかな文物に目を奪われがちですが、講読会でこの書物を知っていなければ素通りするところでした。イヤホンガイドは全ての展示物の解説をしているわけではないのですが、『古今図書集成』についてはかなり長い日本語の解説があり、何だか知り合いに会ったような気持ちになりました。展示されていたのは残念ながら蓮部ではありませんでしたが、完成したばかりかと思うような美しい保存状態に驚きました。
『欽定古今図書集成』は、以下
94巻 蓮部 芸文一
95巻 蓮部 芸文二 芸文三
96巻 蓮部 芸文四
97巻 蓮部 芸文五 紀事一
98巻 蓮部 紀事二 雑録 外編
と続いているそうです。