『類聚国史』(るいじゅうこくし)の象鼻杯

類聚国史は編年体である六国史の記載を中国の類書にならい分類再編集したもので、菅原道真の編纂により、892年(寛平4年)に完成・成立した歴史書である。中国の唐代では、詩文の作成や知識の整理のために、古典の中から必要な箇所を抜書きして分類編纂することが広く行われ、これを類書と称した。この書もまた、類書の形態を踏襲しており、この書を類書として見ることも可能である。もとは本文200巻目録2巻系図3巻の計205巻であったが、応仁の乱で散逸したとされ、現存するのは62巻のみである。帝王、後宮、人、歳時、音楽、賞宴、奉献、政理、刑法、職官、文、田地、祥瑞、災異、仏道、風俗、殊俗という18の分類(類聚)ごとにまとめられている。

『類聚国史』巻第三十二「帝王」延暦13年(794)8月癸丑の条には、「翫蓮葉宴飲、奏楽賜禄」とある。この行事は、中国古代に行われていた蓮葉を用いて飲酒した「碧筩杯」(象鼻杯)を見習ったものであると思われる。これは蓮の葉の中央の臍に小さな穴を茎と通じさせて酒を注ぎ、茎の先から酒を吸うという蓮の香りを楽しむ真夏の朝の優雅な行事である。現在、中国では絶えて伝わっていないようである。魏の正始年間(240~249)に始まったとされている。図は宋 林洪(りんこう)著「山家清供」『中国の食譜』(中村喬訳 東洋文庫 平凡社 1995年)より。山家清供には、その他「蓮房魚包』(蓮の房の魚肉詰)、「玉井飯」(蓮根と蓮の実の飯)が紹介されている。

中国の食譜

 

 

 

 

 

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